
コラム COLUMN
股関節 片側の股関節だけが痛いのはなぜ?左右差の原因を解説

「右の股関節だけが痛い」「左側だけズキズキする」といった片側のみの痛みで不安を感じていませんか?両側が同時に痛むより、片側だけの症状のほうが「なぜ?」という疑問を持たれる方が多いようです。
今回は、股関節に左右差が出る原因について、整形外科専門医の視点からわかりやすく解説します。
考えられる原因1:変形性股関節症
もっとも多い原因の一つが変形性股関節症です。加齢や使いすぎにより、関節の軟骨がすり減ってくると、股関節に炎症が起きたり、動きが悪くなったりして痛みが出てきます。
この病気は、片側から始まるケースが多く、初期には一方の股関節にだけ違和感や痛みを感じるのが特徴です。進行すると両側に出てくることもありますが、初期は「片側の痛み」として発症する人が多いのです。
考えられる原因2:筋肉や靭帯のアンバランス
人は利き手・利き足があります。その影響で、筋肉の使い方にも偏りが出やすく、日常生活の動作が左右非対称になることも。
たとえば、片足にばかり体重をかける癖があると、その側の股関節に負担が集中し、周囲の筋肉や靭帯が緊張して痛みを引き起こす場合があります。特に中殿筋や腸腰筋の使いすぎは、股関節の違和感や痛みにつながります。
考えられる原因3:姿勢や歩き方のクセ
長年にわたる姿勢のクセや歩行パターンの偏りも、股関節の片側だけに負担をかける要因です。骨盤の傾きや背骨の歪みがあると、無意識のうちに片側の股関節に負荷がかかる状態で生活してしまいます。
また、椅子に足を組んで座るクセや、片足に重心をかけて立つクセなども、股関節の左右差を生み出す要因の一つです。
考えられる原因4:過去のけがや手術歴
過去に片側の脚や腰、股関節をけがしていた場合、その影響で左右の動きに差が出ることがあります。
たとえば、右脚を骨折した経験がある人は、無意識に右をかばいながら生活するようになり、逆に左股関節に負担がかかって痛みが出る、といったケースも少なくありません。
考えられる原因5:腰からの神経の影響(坐骨神経痛など)
股関節に近い場所として、腰椎や仙骨から出る神経の問題も要注意です。たとえば、坐骨神経痛ではお尻から太もも、股関節周辺にかけて痛みが出ることがあります。
このような神経のトラブルも、片側だけの症状として現れるケースが多いのです。
自分でできるチェックポイント
以下のようなポイントを確認してみましょう。
- どの動作で痛みが出るか(歩く、しゃがむ、立ち上がるなど)
- 安静にすると楽になるか
- 腰や膝にも違和感があるか
- 日によって痛みの強さが変わるか
痛みの状況を整理しておくことで、医師の診断がスムーズになり、適切な治療に早くたどり着くことができます。
病院に行くべきタイミングは?
次のような場合は、早めの受診をおすすめします。
- 安静にしても痛みが続く
- 歩くときに股関節が引っかかる
- 足が上げづらくなってきた
- 夜間も痛くて眠れない
これらは変形性股関節症の初期サインかもしれません。早期に診断を受けることで、進行を防ぎ、適切な保存療法や再生医療による治療も検討できる可能性があります。
まとめ:片側の股関節痛は放置せず原因を見極めよう
片側の股関節痛は、筋肉のアンバランスや姿勢のクセ、変形性股関節症など、さまざまな原因で起こります。特に「そのうち治るだろう」と放置していると、症状が進行してしまうことも。
気になる痛みがある場合は、早めに整形外科で検査を受けましょう。最近では、関節の再生医療といった選択肢もあり、手術を回避しながら治療する道も開かれています。


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