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FAQ膝 山登りを高齢者が安全に楽しむために。膝の痛みと注意点に関する8つの質問に専門医がやさしく回答

山登りは、心身の健康を維持し、素晴らしい景色を楽しめる素晴らしい趣味ですね。一方で、高齢者の方にとって「膝の痛み」は、登山を長く安全に楽しむための大きな課題でもあります。下り坂で膝がガクガクしたり、翌日に腫れたりして不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、当院の診察室で山登り愛好家の方々からよくいただく質問を中心に、膝を守りながら登山を続けるためのポイントを8つに絞って解説します。専門医の知見に基づいた「膝に優しい山登り」の知識を、ぜひこれからの山行にお役立てください。
この記事の内容
山登りで膝を痛めないための歩き方はありますか?
多くの方が気になる点ですが、基本は歩幅を小さくし、足裏全体で着地することです。特に下りでは、膝を軽く曲げたままクッションを利かせるように歩くと衝撃を吸収できます。大股でドスンと着地すると膝への負担が平地の数倍になるため、小刻みに慎重に足を運びましょう。急がず、自分のリズムを守ることが膝を守る第一歩です。
トレッキングポール(杖)は使ったほうがいいですか?
はい、強く推奨します。2本のポールを使うことで、膝にかかる荷重を腕や上半身に分散させることができます。また、高齢者の方にとって重要な「バランスの安定」にもつながり、転倒予防にも非常に効果的です。多くの方が「もっと早く使えばよかった」とおっしゃる、膝の強い味方となる道具です。
膝サポーターは予防として着用すべきでしょうか?
関節のグラつきを抑え、筋肉の動きをサポートしてくれるため、予防として有効です。ただし、締め付けが強すぎると血行が悪くなり、逆効果になることもあります。ご自身のサイズに合ったものを選び、長時間の登山の際は適宜外して皮膚や血流の状態を確認しましょう。サポーターはあくまで補助ですので、正しい歩き方と併用することが大切です。
登りよりも下りのほうが膝が痛むのはなぜですか?
下りでは重力が加わり、体重の数倍の衝撃が膝関節にかかるからです。さらに、ブレーキをかけるために太ももの筋肉(大腿四頭筋)が酷使されることも原因の一つです。これは登山において多くの方が直面する悩みですが、下りこそ時間をかけ、トレッキングポールなどを活用して、膝への負担を最小限に抑える意識を持ちましょう。

登山前にやっておくべき効果的な準備運動は?
太ももの前(大腿四頭筋)とふくらはぎのストレッチを重点的に行いましょう。高齢者の方は関節や筋肉が硬くなりがちなため、出発前にしっかりほぐすことで怪我の予防になります。また、いきなり急勾配を登るのではなく、最初は平坦な道をゆっくり歩いて体を温めてから、徐々に負荷を上げていく「ウォーミングアップ」を習慣にしてください。
膝に違和感がある時、登山は控えるべきでしょうか?
膝に腫れや熱感、または階段の上り下りで痛みがある場合は、無理をせず中止か延期を検討しましょう。痛みを我慢して山に入ると、関節内の組織(半月板など)をさらに傷める恐れがあります。まずは整形外科を受診し、ご自身の膝の状態を確認した上で、医師から登山の許可を得ることが、長く趣味を続けるための賢い選択です。
高齢者が山登りのために自宅でできる筋トレは?
膝を支える「大腿四頭筋」を鍛えるスクワットがおすすめです。ただし、深く曲げすぎると逆に膝を痛めるため、椅子に腰掛けるような浅い動作(ハーフスクワット)で十分です。また、椅子に座ったまま足を真っ直ぐ伸ばして数秒キープする運動も、膝への負担が少なく効果的です。日々の積み重ねが、山での安定した足取りを作ります。
山から帰った後に膝が熱を持っている時のケアは?
すぐにアイシング(冷却)を行ってください。保冷剤や氷嚢をタオルで包み、15〜20分ほど患部を冷やすことで、関節内の炎症を鎮めることができます。その後、腫れが落ち着いてからゆっくり入浴し、全身の血行を良くしましょう。登山後の適切なケアが、翌日以降の痛みや疲労を最小限に抑えるポイントです。

再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

膝の健康を守ることは、山登りを一生の趣味にするために最も重要な投資です。「もう年だから」と諦める必要はありません。正しい知識、適切な道具、そして日々の少しの工夫で、膝への負担は大きく軽減できます。
もし、ご自身の膝の状態に不安を感じたり、今のケアで十分なのか悩まれたりした際は、いつでも当院へご相談ください。専門医として、あなたが再び素晴らしい山頂の景色に出会えるよう、全力でサポートさせていただきます。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。
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