
コラム COLUMN
肩 肩が痛い!肩腱板損傷とは?

はじめに
「肩が痛くて腕が上がらない」「夜寝ていると肩がズキズキする」といった症状で悩んでいませんか? その原因のひとつとして考えられるのが「肩腱板損傷」です。肩腱板損傷は、特に中高年の方に多く見られ、放置すると肩の動きが悪くなり、日常生活にも支障をきたすことがあります。この記事では、肩腱板損傷の原因や症状、治療法についてわかりやすく解説します。
肩腱板とは?
肩腱板(けんばん)とは、肩関節を安定させ、スムーズに動かすための重要な筋肉と腱の集まりのことを指します。肩腱板を構成する主な筋肉は以下の4つです。
- 棘上筋(きょくじょうきん)
- 棘下筋(きょくかきん)
- 小円筋(しょうえんきん)
- 肩甲下筋(けんこうかきん)
これらの筋肉が連携して、腕を上げたり回したりする動作をサポートしています。
肩腱板損傷とは?
肩腱板損傷とは、肩腱板の一部または全部が傷ついたり、断裂したりする状態を指します。加齢による変性や、スポーツや転倒などの外傷によって発生することが多いです。損傷の程度によって、部分的な断裂(部分断裂)と完全な断裂(完全断裂)に分かれます。
主な原因
- 加齢による変性
- 40代以降に多く見られ、特に50~60代になると発生しやすくなります。
- 腱板の血流が減少し、徐々に組織がもろくなるため、ちょっとした動作でも傷つきやすくなります。
- スポーツや仕事による負担
- 野球やテニスなどのオーバーヘッド動作が多いスポーツ選手に多く発生します。
- 肩を頻繁に使う仕事(大工、塗装業など)を長年続けることで、肩に慢性的な負担がかかり、損傷のリスクが高まります。
- 転倒や外傷
- 転倒して肩を強打したり、腕をついた際に肩腱板が傷つくことがあります。
- 交通事故や転落など、大きな衝撃が加わることで損傷が発生することもあります。
肩腱板損傷の症状
肩腱板損傷の主な症状は以下の通りです。
- 肩の痛み
- 特に夜間痛が強く、寝返りを打つと痛みで目が覚めることがあります。
- 痛みが肩から腕にかけて広がることもあります。
- 腕が上がらない・動かしにくい
- 高い場所のものを取る、服を着る、髪を結ぶなどの動作が困難になります。
- 肩の筋力低下
- 腕を上げる力が弱くなり、日常生活での動作が制限されることがあります。
診断方法
肩腱板損傷の診断には、以下の方法が用いられます。
- 問診と診察
- 痛みの部位や動作時の制限を確認します。
- 特定の動作(腕を上げる、外に回すなど)で痛みが出るかチェックします。
- 画像検査
- X線(レントゲン):骨の変形や石灰沈着の有無を確認。
- 超音波検査:腱板の状態をリアルタイムで観察。
- MRI検査:腱板の断裂や炎症の程度を詳しく評価。
治療方法
肩腱板損傷の治療法は、損傷の程度や症状によって異なります。
保存療法(手術をしない治療)
- 安静と生活習慣の見直し
- 無理に腕を使わず、痛みが強い場合は三角巾などで安静にする。
- 薬物療法
- 鎮痛剤(NSAIDs)を服用して痛みや炎症を抑えます。
- ヒアルロン酸注射やステロイド注射を行うこともあります。
- リハビリ・運動療法
- 専門の理学療法士によるストレッチや筋力強化運動を行い、肩の機能を改善します。
手術療法
保存療法で改善しない場合や、損傷が大きい場合には手術が検討されます。
- 関節鏡視下手術(内視鏡手術)
- 小さな傷口で済み、回復が比較的早い。
- 損傷した腱を縫合し、肩の機能を回復させます。
- 人工肩関節置換術(重度の損傷の場合)
- すでに腱板が機能しない場合に人工関節を入れる手術。
- 痛みが強く、日常生活に支障をきたす場合に選択されます。
予防方法
肩腱板損傷を予防するには、日頃から肩のケアを意識することが大切です。
- 肩周りのストレッチと筋力トレーニング
- 肩甲骨周りの柔軟性を高め、筋力を維持することで負担を軽減できます。
- 無理な動作を避ける
- 突然重いものを持ち上げるのではなく、体全体を使って持ち上げる習慣をつけましょう。
- 適度な運動を継続する
- 運動不足にならないよう、ウォーキングや水泳などの適度な運動を取り入れることが重要です。
まとめ
肩腱板損傷は、加齢や使いすぎによって発生しやすい疾患です。早期に適切な治療を行うことで、痛みを軽減し、日常生活を快適に過ごすことが可能になります。肩に違和感を感じたら、早めに医療機関を受診し、適切な対策を取りましょう。
参考文献
- 日本整形外科学会「肩腱板損傷について」
- 厚生労働省「運動器の健康維持と障害予防」
この記事を書いたのは


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