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肩 腕を上げる途中で肩が痛い|痛む角度や力の入りにくさから考える原因

腕を上げる途中で肩が痛い|痛む角度や力の入りにくさから考える原因

腕を上げる途中で肩が痛い場合、肩を支える腱板の傷みや、その周囲にある滑液包の炎症などが考えられます。五十肩や腱板断裂でも似た症状が出るため、「腕が上がるから大丈夫」「この角度で痛むから断裂」とは判断できません。まずは痛い角度での繰り返し動作や重い物を持ち上げる動作を減らしましょう。力が入りにくい、夜に痛んで眠れない、症状が続く場合は整形外科での確認が必要です。特に、転倒などのけがをきっかけに腕が上がらなくなった場合は、早めに受診してください。

この記事の内容

腕を上げる「途中だけ」肩が痛いのはなぜ?

腕を上げる角度によって、肩の腱や周囲の組織にかかる負担が変わるためです。頭の上まで上げると痛みが軽くなる場合でも、肩に異常がないとは限りません。

途中で痛む「有痛弧(ペインフルアーク)」とは

有痛弧とは、腕を上げ下げする際に、ある範囲で痛みが出る状態です。腕を横から上げる場合、体の横に下ろした位置を0度として、およそ60〜120度で痛みが出るのが代表的なパターンです。肩の高さまで上げると約90度になります。

ただし、痛む範囲には個人差があります。前から上げる場合と横から上げる場合でも違うため、自分で角度を正確に測る必要はありません。

「挟まるから痛い」だけでは説明しきれない

腱板は、肩の奥にある筋肉の腱が集まり、腕の骨を支える部分です。その上には、動きを滑らかにする袋である「滑液包」があります。

腕を上げるときに腱板や滑液包が刺激されて痛む状態は、「肩峰下痛」や「インピンジメント症候群」と説明されることがあります。ただし、腱自体の傷み、炎症、作業量、肩周囲の筋肉の働きなども関係し、単純な骨の挟み込みだけで決まるものではありません。

痛む角度は診断の手掛かりですが、角度だけで病名や腱の断裂の有無を決めることはできません。

腕を上げると肩が痛いときに考えられる主な原因

主な原因には、腱板の傷みや断裂、滑液包の炎症、五十肩などがあります。痛む場所や角度に加え、けがの有無、肩の硬さ、力の入りにくさを組み合わせて考えます。

症状・特徴考えられる原因
腕を上げ下げする途中で、肩の外側や二の腕が痛む腱板の傷み、肩峰下滑液包炎など
途中で痛むだけでなく、物を持ち上げにくい、腕を保ちにくい腱板断裂など。痛み自体で力が出せない場合もある
腕を上げるほか、背中に手を回す動きも硬くなる五十肩など、関節の動きが制限される病態
急に強く痛み、夜も眠れず、少し動かすだけでつらい石灰沈着性腱板炎など
肩の前側が痛み、持ち上げる・ひねる動作でつらい上腕二頭筋長頭腱の障害など
肩から腕・指にしびれが広がる、首の動きでも痛む頚椎症性神経根症など、首からくる神経の障害

この表は受診時に症状を伝えるための目安です。複数の病態が重なることもあり、自己診断には使えません。

腱板が切れていても、腕が上がることがある

腱板断裂とは、腱板の一部または全体の厚みにわたって腱が切れた状態です。転倒などのけがのほか、年齢に伴う腱の変化を背景に、はっきりしたきっかけなく起こることもあります。

断裂があっても、残っている腱板や周囲の筋肉が働き、腕を上げられる場合があります。「上まで上がるか」だけでなく、「途中で痛むか」「日常動作で力が出るか」も大切です。

五十肩は「関節の硬さ」も確認する

五十肩では、痛みに加えて肩の動く範囲が狭くなることがあります。整形外科では、自分で動かせる範囲と、医師が支えて動かしたときの範囲を比べます。

ただし、初期の五十肩では硬さが目立たないことがあり、腱板断裂に関節の硬さが伴う場合もあります。「硬ければ五十肩、動けば腱板断裂」という単純な区別はできません。

突然の激痛は石灰沈着性腱板炎でも起こる

石灰沈着性腱板炎とは、腱板の中にたまったカルシウムの結晶に関連して炎症や痛みが起こる病気です。急に強く痛む場合だけでなく、腕を動かしたときの痛みが長く続く場合もあります。

受診前に確認しておきたいポイント

痛みを何度も再現するより、普段の生活で困る動作を整理しておく方が診察に役立ちます。次の点を無理のない範囲で確認しましょう。

  • いつから痛むか。転倒、重い荷物、作業量の増加などのきっかけがあるか
  • 前から上げると痛むか、横から上げると痛むか。下ろす途中も痛むか
  • 洗髪、着替え、洗濯物干しなど、どの動作が困るか
  • 夜に目が覚めるか。腕や手のしびれもあるか
  • 以前持てた物が持ちにくいなど、力の変化があるか

「痛くて力を出せない」と「力が入らない」はどう違う?

痛みが強いと、腱が切れていなくても力を出せなくなります。一方、腱板や神経の障害で、筋力そのものが低下することもあります。

医師は、力を入れる方向、左右差、痛みの程度、神経の状態などを確認して判断します。家庭で重い物を持ったり、家族に腕を押してもらったりして試す必要はありません。けがの後から急に力が入りにくくなった場合は、セルフチェックより受診を優先してください。

自宅でできる対策と避けたい動作

まずは痛みを強める負担を減らし、無理のない動きを保つことが基本です。痛みを我慢したストレッチや筋トレは避けましょう。

腕を高く上げる回数と、持つ物の重さを減らす

  • よく使う物は、肩より低い位置に置く
  • 洗濯物は、無理に腕を伸ばさず届く高さで扱う
  • 荷物は軽く分け、できる範囲で両手を使って体に近づける
  • 頭上での作業は時間を短くし、途中で休む

肩を長期間まったく動かさないと、硬さが進むことがあります。けが直後などで医師から安静を指示されている場合を除き、痛みを強めない範囲で日常の動きを続けます。

ストレッチは「強く伸ばせばよい」わけではない

壁を使って無理に腕を上げる、背中側から強く引っ張る、重りを持って横に上げる運動は、原因が分からない段階では控えましょう。

動かした後も痛みが残る、夜間痛が増す、翌日に悪化する場合は負担が大きすぎる可能性があります。運動の範囲や回数を減らし、続く場合は整形外科で相談してください。

寝る姿勢や温め方も調整する

痛い肩を下にして寝るとつらい場合は、反対側を下にするか、仰向けで寝てみましょう。肘から前腕の下にクッションを置き、腕が引っ張られない姿勢にすると楽になる場合があります。

動かした後の痛みは、タオル越しに短時間冷やすと和らぐことがあります。こわばりには入浴などの温めが心地よい場合もありますが、悪化する方法は中止してください。冷やしすぎや低温やけどにも注意が必要です。

整形外科を受診した方がよい症状

受診のタイミングは、痛む角度よりも、けがの有無や筋力低下、睡眠・生活への影響で判断します。腕が上がる場合でも、症状が続くなら確認が必要です。

当日中の受診を考えたい症状

  • 転倒や強い衝撃の後から、腕が上がらない、急に力が入らない
  • 肩の形が変わった、急に大きく腫れた
  • 肩が赤く熱をもち、発熱もある
  • 突然の強い痛みで、少し動かすことも難しい

これらでは、骨折・脱臼、腱板断裂、感染などを確認します。無理に動かしたり、自分で関節を戻そうとしたりしないでください。

早めに予約して相談したい症状

  • 夜の痛みで眠れない、着替えや仕事に支障がある
  • 力の入りにくさや、動かせる範囲の減少が続く
  • 負担を減らしても改善しない、または繰り返す
  • 腕や指のしびれがある

軽い痛みでも、1〜2週間ほど負担を調整して改善傾向がなければ、受診を考える目安になります。これは一律の診断基準ではなく、症状が強い場合や悪化する場合は、その期間を待つ必要はありません。

肩や腕の痛みに、胸の圧迫感、息苦しさ、冷や汗などが伴う場合は、心臓の病気の可能性もあるため119番に連絡してください。

整形外科ではどのような検査をする?

診察で原因の見当をつけ、必要に応じてレントゲン、超音波、MRIを選びます。すべての肩の痛みで、最初からMRIが必要になるわけではありません。

診察・検査主に確認すること
問診・診察発症のきっかけ、痛む動き、肩の硬さ、筋力、首や神経の状態
レントゲン骨折、関節の変形、石灰の沈着など。腱板の断裂自体は詳しく分からない
超音波(エコー)腱板の断裂や滑液包の状態など。動かしながら観察できるが、見え方は部位や検査条件による
MRI腱板の断裂範囲、筋肉の状態、ほかの病変など。治療方針や手術の検討に役立つ

レントゲンが正常でも、腱板の異常は否定できない

レントゲンで目立つ異常がなくても、腱や滑液包に原因がある場合があります。けが後の筋力低下、長引く痛み、診察で断裂が疑われる場合などは、超音波やMRIを検討します。

MRIの異常と、痛みの原因が同じとは限らない

年齢とともに腱板に変化が生じても、痛みのない方がいます。画像で見つかった断裂や石灰だけで「今回の痛みの原因」「手術が必要」とは決めません。

症状が始まった時期、診察で痛む動き、筋力や生活への影響と、画像所見が合うかを確かめることが重要です。

治療は負担の調整と運動療法が基本

多くの場合、まずは手術を行わない保存療法を検討します。原因に合わせて生活動作の調整、運動療法、薬、必要に応じた注射を組み合わせます。

運動療法・リハビリテーション

肩の動きやすさを保ち、肩周囲の筋肉を段階的に使えるようにします。腱板の傷みでは、状態に合わせた運動療法が痛みや機能の改善に役立ちます。

五十肩で硬さが強い方と、腱板断裂で力が入りにくい方では、必要な運動が異なります。年齢だけで一律に決めず、家事、仕事、スポーツへの復帰目標も踏まえて負荷を調整します。

痛み止めと注射

痛み止めの内服や外用薬は、痛みを抑え、生活やリハビリに取り組みやすくする目的で使います。持病や併用薬によって適さない薬もあるため、市販薬を含めて医師・薬剤師に確認しましょう。

炎症や夜間痛が強い場合には、ステロイド注射などを検討することがあります。短期的に症状が和らぐ場合がありますが、切れた腱をつなぐ治療ではありません。感染、血糖値の上昇、腱への影響などを考慮し、反復するかどうかや手術前の使用は慎重に判断します。

ヒアルロン酸注射が選択される場合もありますが、適応や効果は病態によって異なり、すべての肩の痛みに一律に勧めるものではありません。注射で楽になっても、負担の調整や必要な運動療法を続けることが大切です。

手術を考えるのはどのようなとき?

手術は、痛みだけでなく、腱板の状態、筋力低下、生活上の不便、保存療法への反応を踏まえて検討します。断裂が見つかったという理由だけで、全員に必要になるわけではありません。

  • 適切な保存療法を続けても、痛みや生活上の支障が改善しない
  • 筋力低下が強く、仕事や日常動作が難しい
  • けがをきっかけに断裂が生じ、早めの修復を検討した方がよい
  • 経過中に断裂の拡大や機能低下が疑われる

腱板断裂では、保存療法で痛みが軽くなっても、断裂そのものが元どおりにつながったとは限りません。経過中に断裂や筋肉の変化が進む場合があり、手術が選択肢になる方は、定期的に状態を確認します。

一方で、肩の途中の痛みだけを理由に、骨を削る手術や腱の修復を決めることも適切ではありません。手術の目的、期待できる改善、術後の固定・リハビリ、再断裂などのリスクを確認し、生活背景と希望を含めて相談しましょう。

再生医療という新しい選択肢

近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。

例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。

ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ|腕を上げる途中の肩の痛みは、角度と筋力を合わせて考える

腕を上げる途中で肩が痛い場合は、腱板や滑液包の障害などが考えられます。腕が上がるかどうかだけで判断せず、次の点を押さえておきましょう。

  • 痛む角度だけでは、腱板断裂や五十肩を診断できません。
  • 腕が上がっても、腱板が切れている場合があります。
  • まずは痛い動作の負担を減らし、無理なストレッチを避けましょう。
  • 画像の異常だけでなく、筋力や生活への影響を踏まえて治療を選びます。
  • けが後の急な筋力低下、夜間痛、長引く症状は受診の目安です。

症状が続く場合は整形外科で原因を確認し、ご自身の状態に合った対策を相談しましょう。

よくある質問

Q1.腕を上げると肩が痛いのですが、下ろすときの方が痛いのはなぜですか?

腕をゆっくり下ろすときも、腱板などの筋肉が働いて動きを支えます。そのため、腱板の傷みや滑液包の炎症で下ろす途中に痛むことがあります。下ろすときに痛いという特徴だけでは、断裂の有無は判断できません。

Q2.肩がゴリゴリ鳴ります。腱板が切れているのでしょうか?

音だけでは腱板断裂とは判断できません。痛みのない音がする場合もあります。ただし、音とともに痛み、引っ掛かり、力の入りにくさがある場合は、整形外科で確認してください。音を確かめるために何度も動かすのは避けましょう。

Q3.肩が痛い間もゴルフや筋トレを続けて大丈夫ですか?

痛みを強める運動は、回数や負荷を減らすか一時的に休みましょう。運動後や翌日まで痛みが増す場合は、負担が大きすぎる可能性があります。けが後の痛みや筋力低下がある場合は、再開前に診察を受けてください。

Q4.湿布で楽になったら、腱板も治ったと考えてよいですか?

痛みが和らぐことと、傷んだ腱が修復することは別です。症状が軽くなっても、断裂が残っている場合があります。力の入りにくさが続く、同じ動作で痛みを繰り返す場合は、湿布だけで様子を見続けず受診しましょう。

参考情報

札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。

院長 川上公誠

(プロフィール)


監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長

岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。

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