
コラム COLUMN
スポーツ外傷膝 ランニングでひざが痛い原因と、走り続けるためのセルフケア

ランニング中のひざの痛み、放っておいて大丈夫?
「走っていると膝が痛い…」そんな悩みを抱えているランナーは意外と多いものです。特に中高年になると、筋力の低下や関節の変性も関わり、痛みを訴える方が増えてきます。この記事では、ランニングによってひざが痛くなる主な原因と、ランナーが自分でできるセルフケアの方法について、整形外科専門医の立場からわかりやすく解説します。
ランニングでひざが痛くなる原因
1. オーバーユース(使いすぎ)
長距離を毎日走ったり、急に距離やスピードを増やしたりすると、関節や周囲の組織に負荷がかかりすぎて痛みを引き起こします。特にランナー膝(腸脛靭帯炎)は代表的なオーバーユース障害の一つで、外側の膝の痛みが特徴です。
2. 筋力不足とアンバランス
大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)やハムストリングス(太ももの裏の筋肉)の筋力バランスが悪いと、ひざにかかる力の調整ができず、痛みが生じやすくなります。特に初心者ランナーに多く見られます。
3. 関節軟骨のすり減り
中高年になると、関節の軟骨が加齢とともにすり減り、変形性膝関節症が進行していることもあります。初期には走行後の違和感程度でも、悪化すると日常生活にも支障が出るため注意が必要です。
4. ランニングフォームの問題
着地の仕方が悪い、過度な前傾姿勢、骨盤の傾きなど、フォームの問題によってひざへの負担が大きくなるケースも少なくありません。プロにフォームチェックを依頼するのも一つの方法です。
走り続けるためのセルフケアのポイント
1. アイシングと休息を取り入れる
痛みが出た後は、まず無理をせず走るのを中止し、患部を冷やして炎症を抑えます。痛みが引くまでは数日間休養し、無理に走らないことが重要です。
2. ストレッチとウォームアップ
ランニング前後には、太ももやふくらはぎ、股関節まわりのストレッチを丁寧に行いましょう。ウォームアップとして軽いジョギングやその場での足踏みをすることで、関節や筋肉の準備が整います。
3. 筋力トレーニングで予防する
ひざへの負担を減らすためには、太もも前後の筋肉の強化が非常に効果的です。スクワットやランジといった簡単なトレーニングを週に2〜3回取り入れると、走っても痛みにくいひざがつくれます。
4. インソールや靴の見直し
クッション性の高いランニングシューズや、足に合ったインソールを使うことで、着地時の衝撃をやわらげ、ひざへの負担を軽減できます。靴底のすり減りやサイズのズレも定期的にチェックしましょう。
5. 痛みが続くときは医療機関へ
セルフケアを続けても痛みが改善しない場合は、整形外科や再生医療を専門とするクリニックの受診をおすすめします。MRIなどの画像検査や、必要に応じてヒアルロン酸やPRP、幹細胞治療などの先進的な治療法も選択肢になります。
正しい知識とケアで、長くランニングを楽しもう
ひざの痛みがあると、「もう走れないのでは?」と不安になるかもしれません。しかし、多くのケースでは正しい知識とセルフケア、適切なトレーニングによって再び楽しく走ることができます。体の声に耳を傾け、無理をしないことが大切です。ひざの痛みと上手につきあいながら、これからも長くランニングライフを楽しんでください。


各種ご相談やご予約はこちら
- ひざの痛みに関する相談
- セカンドオピニオンの相談
- 再生医療に関する相談
- MRI検査のご予約